今回は2020年1月1日の補論に続いて、2019年11月19日の記事で発表した拙稿「貯蓄とは何か」の補足を行なう(大元の議論の概要は上記2つの記事および論文本体の第Ⅵ節冒頭と文末の部分を参照してほしい)。
前回の補論は、私の提示した「矛盾」がそもそも存在しないかのようにしらを切る経済学者たちに、矛盾の証拠をつきつけるべく書かれた。一方今回は、S=I(総貯蓄=総投資)という等式が政策実践に影響しうる経済思想の中でどんな役割を演じてしまっていたのか、という問題を──論文や記事の中でも扱ってはいたのだが──少し掘り下げてみたい。
続きを読む